性の希望を、パートナーに伝えるには

クロスブルーを運営する中で、相談の現場で見聞きしてきたことをもとに書いています。専門的な医療や性教育の解説ではありません。体の不調は医療機関に相談してください。

性の希望を相手に伝えるのは、想像以上に難しいものです。

してほしいこと、やめてほしいこと、試してみたいこと。言えれば関係はよくなるはずなのに、口にした瞬間に相手を否定する気がして、飲み込んでしまう。クロスブルーへの相談でも、「言えないまま我慢している」という人は多いです。これは伝え方の技術というより、切り出し方の設計の問題です。少し具体的に書きます。


「ダメ出し」に聞こえてしまう問題

希望を伝えると、相手にはしばしば「今のやり方がダメだ」と聞こえます。ここが一番のつまずきです。

「もっとこうしてほしい」が、「あなたは下手だ」に変換されて伝わる。だから相手は身構え、こちらは責めたつもりがないのに気まずくなる。一度これが起きると、二度目は言えなくなります。なぜ言えなくなるのか、その構造はパートナーに言えない性の悩みは、どこで話せばいいのかに書きました。

ダメ出しに聞こえさせない。伝え方の工夫は、まずここに集中します。


「主語を自分にする」だけで変わる

相手を主語にした言い方と、自分を主語にした言い方の違いを示す抽象図

一番効くのは、主語を相手ではなく自分にすることです。

「あなたはいつも〜」ではなく、「私は〜だと嬉しい」。相手のやり方を採点するのではなく、自分の好みや感覚を共有する形にする。「こうされると安心する」「これは少し苦手かも」。同じ内容でも、自分を主語にすると、ダメ出しではなく希望として伝わります。

それから、ベッドの中の流れで言おうとしないこと。その場で言うと、どうしても評価のように響きます。落ち着いた時間に、ふつうの会話として切り出す方が、お互い身構えません。


練習する場所があると、本番が楽になる

とはいえ、いきなりパートナーに完璧に伝えるのは難しい。自分の希望が何なのか、自分でもはっきりしていないことも多いからです。

クロスブルーは、性の希望を言葉にする練習の場でもあります。何が好きで、何が苦手で、何を試したいのか。否定されずに話すうちに、自分の希望の輪郭がはっきりしてくる。一度どこかで言葉にできると、パートナーにも伝えやすくなります。望みを言葉にすることについては「満たされない」と感じている女性へに、同意とすり合わせの考え方は「同意」って何?セックスにおける同意の考え方に書きました。

伝える前に、自分の希望を自分で確かめる。その順番が、本番をぐっと楽にします。


「してほしくない」も、希望のうち

希望というと「してほしいこと」を思い浮かべがちですが、「してほしくないこと」を伝えるのも、同じくらい大事な希望です。

苦手なこと、痛いこと、気が乗らないこと。これを言えないまま我慢すると、性そのものが嫌になっていきます。「今日はやめておきたい」「これは苦手」と言えることは、わがままではなく、続けるための条件です。断ることが尊重される関係については「同意」って何?セックスにおける同意の考え方に書きました。


よくある質問

Q. 伝えると、相手を傷つけてしまいそうです。

主語を自分にして、好みや希望として伝えると、ダメ出しに聞こえにくくなります。落ち着いた時間に切り出すのも効果的です。

Q. 自分の希望が何なのか、よく分かりません。

それはよくあることです。クロスブルーでは、希望を言葉にする手前から整理を手伝えます。話すうちにはっきりしてきます。

Q. パートナーに言う前に、相談だけしてもいいですか?

構いません。伝える練習や、希望の整理のために相談に来る方もいます。


運営元:2009年から東京で続く非商業セックスサークルクロスブルー。参加費や紹介料は頂かず、女性が安心して相談できることを大切に運営しています。

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