セックスレスを、誰に相談すればいいのかわからない方へ

クロスブルーを運営する中で、相談の現場で見聞きしてきたことをもとに書いています。専門的な医療や性教育の解説ではありません。体の不調は医療機関に相談してください。

セックスレスの相談は、行き場がありません。

友人に話せば夫の悪口になってしまう。親には絶対に言えない。夫婦カウンセリングは大げさな気がするし、そもそも夫を連れて行けるくらいなら、レスになっていない気もする。それで夜中に「セックスレス 解消」と検索して、「夫婦で話し合いましょう」と書かれた記事を閉じる。そういう経験をしてきた方に向けて、このコラムを書いています。

私は2009年から、東京で非商業のセックスサークル「クロスブルー」を運営してきました。セックスレスは、女性から寄せられる相談の中で常に上位にあるテーマです。


珍しくない。でも、それで楽になるわけではない

既婚カップルの半数近くがセックスレスだ、という調査があります。あなただけではない、というのは事実です。

ただ、相談を聞いてきた実感では、「珍しくない」と知って楽になる人はあまりいません。寂しさは統計では薄まらないからです。隣に人がいるのに、何ヶ月も、ときには何年も触れられていない。その状態を「よくあること」と言われても、今夜の寂しさには関係がありません。


原因を、ひとつに決めなくていい

「セックスレス 原因」で検索すると、加齢、多忙、産後、すれ違い、不満。いろいろ出てきます。どれも当たっていて、どれも決定打ではありません。

実際のレスは、たいてい一つの原因ではなく、小さなきっかけが積み重なって、いつのまにか「切り出せない期間」が固定したものです。最初は仕事の疲れ、次に気まずさ、そのうち触れないことのほうが普通になる。だから「原因はこれだ」と一つに絞ろうとすると、たいてい行き止まります。

大事なのは、原因の特定よりも、今の自分が何を寂しいと感じているかのほうだと思います。それを言葉にできる場所があるかどうかで、次にできることは変わってきます。


「夫婦で話し合う」が、いちばん難しい

レス解消の記事には、ほぼ必ず「夫婦で率直に話し合いましょう」と書いてあります。正論です。そして、レスに悩む人にとっていちばん難しいのがそれです。

切り出した瞬間に空気が変わるのが怖い。断られたら、今の「触れないけれど穏やかな関係」まで壊れる気がする。だから切り出せないまま時間が経ちます。これは努力不足ではありません。失うものがある人ほど慎重になる、というだけのことです。

産後のレスには、別の事情も重なります。体の回復に時間がかかるうえ、生活は子ども中心に変わります。「求められなくなった」のか「求めなくなった」のか、自分でもわからなくなった、という話を何人もの方から聞いてきました。


夫婦の外に場所を持つ、ということについて

ここから先は、正直に書きます。

クロスブルーに相談に来る既婚の女性は、離婚したいわけでも、恋愛がしたいわけでもない方がほとんどです。家庭は維持したい。夫のことが嫌いなわけでもない。ただ、性の部分だけが何年も空白で、その空白を誰にも話せない。

世の中には、セカンドパートナーや既婚者マッチングをうたうサービスもあります。あれは恋愛の代わりを探す場所です。クロスブルーは違います。ここは性の悩みを話すところから始まる場所で、その先に進むかどうか、どこまで進むかは、相談と面談を重ねながらあなた自身が決めます。話すだけで終わる方もいますし、信頼できる相手と継続的な関係を持つ方もいます。

罪悪感についても触れておきます。私たちは、あなたの状況をジャッジしません。同時に、罪悪感を消してあげることもできません。家庭との折り合いをどうつけるかは、最終的にあなたが決めることです。私たちに用意できるのは、秘密が守られる環境と、急がされない時間です。


実際にあった話をひとつ

40代の方が、夫とのセックスへの違和感をきっかけに相談に来たことがあります。何回かのやりとりと面談を重ねたあと、彼女が口にしたのは「安心感のあるセックスがしたかったんだ」という言葉でした。刺激でも非日常でもなく、安心感。この言葉は、運営している私たちにとっても発見でした。

レスの悩みの正体は、回数の問題ではなく、安心して求め、求められる関係が失われていることなのかもしれません。だとすれば必要なのは、我慢でも夫婦の演技でもなく、安心して話せる場所だということになります。


クロスブルーでできること

相談は、参加の申し込みではありません。面談だけで終わっても構いませんし、何ヶ月も「話すだけ」を続けている方もいます。参加費や紹介料は頂いていません。場所代などの実費は、男性負担または折半を相談して決めます。

レスが解消されることを約束はできません。ただ、誰にも言えなかったことを口に出せる場所がひとつあるだけで、家庭での自分が少し楽になる。そう話してくれた方は、ひとりではありません。


よくある質問

Q. 既婚ですが、本当に相談だけでもいいのですか?

構いません。相談や面談から先に進まない方も普通にいます。急がせることはありません。

Q. 夫や家族に知られないか不安です

個人情報の扱いと連絡方法は、最初の相談の段階で一緒に決めます。本名でなくても相談を始められます。

Q. 同じ相手と続けて会うことはできますか?

双方の同意と安全が守られているなら問題ありません。一度きりを前提にした場ではありません。

Q. セックスをしないカップルは、どのくらいいますか?

各種の調査では、性交が月1回未満の状態が続くことを「セックスレス」と呼ぶことが多く、その割合は決して少なくありません。「うちだけ」ではない、ということです。ただ、割合より大事なのは、二人が納得しているかどうかです。頻度の話はセックスの頻度に「正解」はあるのかに書きました。

Q. セックスをしなくても、問題ないのでしょうか?

二人が納得しているなら、問題ありません。しないことが悪いのではなく、片方が我慢してすれ違っていることがつらさの正体です。あなたが満たされない側なら、その気持ちを話せる場所はあります。

運営元:2009年から東京で続く非商業セックスサークルクロスブルー。参加費や紹介料は頂かず、女性が安心して相談できることを大切に運営しています。

まずは、話すところから。

参加するか決めていなくても大丈夫です。不安なことからご相談ください。

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