パートナーに言えない性の悩みは、どこで話せばいいのか

クロスブルーを運営する中で、相談の現場で見聞きしてきたことをもとに書いています。専門的な医療や性教育の解説ではありません。体の不調は医療機関に相談してください。

性の悩みは、一番近い人にこそ言えないことがあります。

パートナーがいるのに、いるからこそ言えない。感じにくいことも、本当はもっと違うことを試してみたいことも、相手を傷つけずに切り出す方法がわからない。それで結局、何も言わないまま夜中に「性の悩み 相談 女性」と検索して、当たり障りのない記事を閉じる。そういう経験をしてきた方に向けて、このコラムを書いています。

クロスブルーを16年運営してきて、相談に来る方の多くがまさにここで止まっていました。「悩みがない」のではなく、「話す場所がない」。この行き止まりを、少しほどいていきます。


なぜ、パートナーにこそ言えないのか

「不満があるなら相手に言えばいい」と、外からは見えます。でも、当事者にとってはそれが一番難しい。

たとえば「最近あまり感じない」と伝えるとします。相手はたいてい、自分が責められたと受け取ります。本当はそういう話ではなくて、自分の体や気持ちのことを整理したいだけなのに、会話が「どっちが悪いか」にずれていく。一度それで気まずくなった経験があると、二度目はもう切り出せません。

「もっと違うことを試してみたい」という好奇心の話は、さらに言いにくい。今の関係を否定しているように聞こえないか、相手に「物足りないのか」と思わせないか。そこを気にして飲み込む人が、とても多いです。

つまり、パートナーに言えないのは仲が悪いからではありません。むしろ関係を壊したくないからこそ、言葉にできない。これは弱さではなく、相手を大事にしている証拠でもあります。


友人や親に話すのも、簡単ではない

では身近な人に、と考えても、ここもふさがっています。

友人に話すと、その後の関係に残ります。飲みの席で一度こぼした性の話が、別の友人に伝わっていた。そういうことが一度でもあると、もう誰にも話せなくなる。親には、年齢に関係なく、性の話だけは最後までできないという人が多い。

オンラインの匿名掲示板や知恵袋は、ハードルは低い。ただ、返ってくるのは見知らぬ誰かの一言で、それきりです。続けて聞き返すこともできないし、相手がどういう立場の人かもわからない。その場の発散にはなっても、整理にはなりにくい。

身近であるほど、後に残ることを考えて話せない。遠い相手ほど、その場限りで終わる。性の悩みが宙に浮きやすいのは、この二つの間に、ちょうどいい距離の相手がいないからだと思っています。


カウンセリングは「大げさ」に感じてしまう

「専門家に相談すれば」という選択肢もあります。実際、性に関するカウンセリングや婦人科の相談窓口はあります。

ただ、多くの人がここで一度ためらいます。「病院に行くほどではない」「治療してほしいわけじゃない」という感覚です。困ってはいるけれど、自分を「問題を抱えた人」として扱われることに、抵抗がある。予約を取って、問診票を書いて、という手前で止まってしまう。

その気持ちは、おかしくありません。性の悩みのかなりの部分は、医療というより「誰かと話して、自分の中で位置づけ直したい」という性質のものです。原因を特定して直す話ではなく、「こう感じている自分は変なのか」を確かめたい。カウンセリングが合う人もいますが、合わないと感じる人がいるのも当然です。

パートナー・友人・カウンセリングなど、性の悩みの相談先ごとの距離感を整理した図

「話せる場所」を一つ持っておくということ

クロスブルーは、医療でも恋愛でもない場所です。性のことを、否定されずに話せる場をつくっています。

相談に来た方からよく聞くのは、「話したら、解決はしていないのに少し楽になった」という感想です。性の悩みは、答えが出ないことの方が多い。それでも、声に出して、相手にうなずいてもらえただけで、抱えていたものの重さが変わることがあります。「こう感じている自分はおかしくない」と、外側から確認できるからだと思います。

クロスブルーでは、まずメールや問い合わせフォームでのやりとりから始めます。会うかどうかも、何かを試すかどうかも、その時点では何も決まりません。「まだ何も決めていないのですが」という書き出しで届くメッセージが、いつも一定数あります。それで十分です。相談だけで終わっても構いませんし、それを後ろめたく感じる必要もありません。

パートナーがいる方の相談も、もちろんあります。ここで話すことが、巡り巡ってパートナーとの会話を少し変えた、という人もいました。性のことを一度どこかで言葉にできると、一番近い人にも前より話しやすくなることがあるようです。クロスブルーがどんな場所かは、女性の方へに詳しく書いています。


よくある質問

Q. パートナーがいても相談していいですか?

問題ありません。交際中の方も既婚の方も相談に来ます。今の関係をどうしたいかは、こちらから踏み込むことではありません。話したいことを話していただく場です。

Q. 相談だけで、参加しなくてもいいですか?

構いません。相談や面談だけで終える方は珍しくありません。参加費を頂いていないので、「話を聞いてもらったから何かしなければ」という負担も生まれません。

Q. 何を話せばいいかわからなくても大丈夫ですか?

大丈夫です。「うまく言葉にできない」という状態のまま来ていただいて構いません。やりとりの中で、少しずつ整理していけば十分です。


運営元:2009年から東京で続く非商業セックスサークルクロスブルー。参加費や紹介料は頂かず、女性が安心して相談できることを大切に運営しています。

まずは、話すところから。

参加するか決めていなくても大丈夫です。不安なことからご相談ください。

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