「中イキできない」をひとりで抱えてきた方へ

クロスブルーを運営する中で、相談の現場で見聞きしてきたことをもとに書いています。専門的な医療や性教育の解説ではありません。体の不調は医療機関に相談してください。
「中イキ できない」という検索は、たいてい夜中にひとりでするものです。出てくるのは婦人科系メディアの解説か、アダルトサイトのテクニック記事。どちらを読み終えても、誰かに話せるようになるわけではありません。
クロスブルーは2009年から東京で続いている非商業のセックスサークルです。女性から寄せられる相談の中で、この種の悩みはいちばん多い部類に入ります。イけない。感じにくい。途中から考えごとが始まってしまう。だからこのコラムは、テクニックの解説ではなく、この悩みをどう扱えばいいのかについて書きます。
「中イキ」という言葉が、先に何かを壊している
最初に書いておきたいのは、挿入だけでオーガズムに達する女性はもともと少数派だ、という事実です。海外の調査では2割前後という数字が繰り返し報告されています。「中イキできない」は、多数派の状態に名前がついたものです。
それでも悩みになるのは、「中イキ」という言葉の出どころが、AVや雑誌の演出だからだと私は思っています。あの映像の中では全員が当たり前にイきます。現実の体はそうできていないのに、比較対象だけが目の前にある。できないことが欠陥に見えてしまうのは、この構図のせいです。
あなたの体の問題として始まった悩みではなく、作られた基準との比較で生まれた悩み。まずそこを切り分けてください。
「できない」の中身は、人によってまったく違う
相談を聞いていて感じるのは、「イけない」という同じ言葉でも、その中身が人によって違うことです。
体の感覚の問題に見えて、実際にはプレッシャーの問題であることが多くあります。イかなければ相手に悪い、と思った瞬間に、自分の体を観察する側に回ってしまう。観察しながらゆるむのは難しいものです。
痛みが関わっている場合もあります。以前、相談に来た30代の既婚の方は、性交痛が強く、痛みへの身構えが体のこわばりを呼び、こわばりがさらに痛みを強くする悪循環の中にいました。彼女に必要だったのはテクニックではなく、「痛かったら途中でやめていい」が本当に保証されている時間でした。挿入をしない形で、安心することだけを優先する関わりを続けるうちに、痛みは少しずつ軽くなっていきました。結果を約束する話ではありませんが、実際にあったことです。
痛みや体の不調が続いている場合は、まず婦人科で診てもらうことを勧めます。クロスブルーは治療の場ではないので、医療が必要な悩みを抱え込むことはしません。
いちばん重いのは、誰にも話せないこと
この悩みの本当の重さは、イけないことそのものより、誰にも話せないことにあると思います。
パートナーには言えません。「あなたとのセックスでイけていない」という事実が、相手を傷つけそうだからです。友人にも言いにくい。恋愛の話はできても、自分が感じられないという話は別物です。結果、知恵袋に匿名で書くか、夜中に検索するかになります。
ずっとひとりで抱えてきたことを、初めて口に出して話す。それだけで何かが変わる場合があることを、私たちは16年の間に何度も見てきました。
クロスブルーでできること、できないこと
クロスブルーでできるのは、まず話すことです。面談は都内のカフェなど公共の場所で行います。相談だけ、面談だけで終わっても構いません。参加費は頂いていません。
「イけるようになります」という約束はしません。むしろ、そういう保証を口にする場所のほうを疑ってください。私たちに用意できるのは、急がされない時間と、「今日はここまででいい」が通る関係だけです。ただ、その環境が体に与える影響は、思っているより大きいようです。
結論を急ぐ必要はありません。このページを閉じて、また夜中に検索する日が続いても構いません。話したくなったときに、相談だけ送ってもらえれば十分です。
よくある質問
Q. 相談したら、参加することになりますか?
なりません。相談と参加は別のものです。話して、考えて、やめる方も普通にいます。
Q. 悩みをうまく説明できる自信がありません
うまく話す必要はありません。「イけないことで悩んでいる」だけで十分です。整理は、やりとりの中で一緒にやればいいことです。
Q. 体の問題かどうか、自分ではわかりません
痛みや不調があるなら、まず婦人科に相談してください。検査では問題がないと言われたのに悩みが残っている、という方は多くいます。そこから先が、話せる場所の出番だと考えています。
運営元:2009年から東京で続く非商業セックスサークルクロスブルー。参加費や紹介料は頂かず、女性が安心して相談できることを大切に運営しています。